| 縄文けいざい問答 Vol.26 リンゴ輸出減、円高で? |
| 青森のリンゴ輸出が減少したので、その元凶である円高を食い止めてほしい、と懇願されることがあった。風評被害払拭(ふっ・しょく)のためのPRが奏功し、いよいよお得意様の台湾向けに輸出を挽回(ばん・かい)するぞと盛り上がった機運が、円高で水を差されたという。 しかし、リンゴ輸出が減少した原因は本当に円高なのか。以下、リンゴ輸出の数量と金額とを分けてみてみたい。 青森産が大半を占める台湾向け輸出数量は、2011年産リンゴの出荷が本格化した昨年11月に、前年同月比で減少した。ただ、その減少幅は約2%と小さい。 ところで、11年産リンゴの収穫量は、全体で前年比1〜2割も減少したと聞く。国内出荷量も1割余り減少し、品薄感から消費地市場価格が3割弱も上昇している。 このように収穫量が減少し国内価格が上昇する中でも、青森リンゴ生産量に占める比率が約5%に過ぎない台湾向け用に輸出数量は確保しているのだ。この輸出数量が減少した第一の原因を挙げるとすれば、それは収穫量減少であって、円高ではない。 一方、台湾向けリンゴ輸出金額は23%増えた。数量減を単価上昇がカバーした。 円高にもかかわらず、円建てのリンゴ輸出単価が上昇したのだ。例えば自動車など工業製品の輸出において、円高による減収分を現地通貨建て販売価格になかなか転嫁できないのとは対照的に、リンゴの台湾向け輸出では、円高分をフルに取り戻したうえに、さらなる値上げもできている。 台湾ドルの為替相場は、円に対して前年同期比5%弱下落した。前述したように、輸出の金額および単価が2割余り増加したことからすると、青森リンゴの台湾ドル建て価格は3割程度上昇した計算になる。 こうした大幅値上げが台湾で通る背景には、高級贈答品としての青森リンゴのブランド力に加え、リンゴの品薄という需給要因もある。収穫量と輸出数量が減ったから値上げできたのであって、円高値上げの結果として輸出数量が減ったのではない。 円高がスケープゴートにされ、それこそ「風評被害者」になってしまわないよう、丁寧な経済分析を心掛けたい。 |
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