樋口一葉
〜「ゆく雲」〜

【「ゆく雲の」一節】
 我が養家は大藤村の中萩原とて、見わたす限りは天目山、大菩薩峠の山々峰々、垣をつくりて、西南にそびゆる白砂の富士の嶺は、をしみて面かげを示さねども、冬の雪おろしは遠慮なく身をきる寒さ、魚といひては甲府まで五里の道を取りやりて、やうやうまぐろの刺身が口に入る位。

 「ゆく雲」の中で主人公の桂次が故郷大藤村の風景を思い出している場面です。

山梨県甲州市塩山中萩原からの秩父
大菩薩嶺、重川の風景
<写真提供:山梨県立文学館>




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