■事務所長からのメッセージ
■「新年に当って:経験の龍」
去る2011年11月にブータン王国・国王夫妻が国賓として来日されまし
た。同国は国民総幸福量(GNH)を建国理念に掲げていて、国会での演説な
ども紹介されましたが、併せて興味深かったのは、福島の小学校を訪問した際
に語った「龍」の話でした。
小学生に対し、ブータンの国の記章(エンブレム)に配された、想像物と目
される「龍」の実在を尋ねたうえで、同国王は「自分には龍が見える、皆さん
一人ひとりの中に」と小学生を驚かせ、「龍は経験を食べて成長する、皆さんの
なかの龍を育んでほしい」と勇気づけたということです。
「経験を食べて成長する」、なんと含蓄深い言葉でしょう。日々の生活経験を
通じて、自分の心の中の「龍」をしっかり育てて行く取り組みはどなたにも通
じる姿勢だと確信します。
自分の中の「龍」とは何でしょうか?かの国王はそれを語っていませんので、
誰もが自らの龍に問いかける必要があります。
日本銀行の白川総裁は「中央銀行はパブリックマインドと変化に対する感受
性を育てるとともに、金融や経済に対して常に旺盛な好奇心をもって、学習し
続ける組織でありたい」という趣旨を繰り返し述べています。
2012年、私ども日本銀行鳥取事務所も、地域の皆様との対話を通じ、謙虚
に学習し、自らの経験を育てる龍を目指したいと思います。中央銀行業務に
ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
2012年1月
日本銀行鳥取事務所長
大石 正人
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