■事務所長からのメッセージ

■決済サービスの安定提供を目指して

　 金融機関（銀行など）は、決済サービスを中断・誤りなく提供し続ける責務を負っています。給与振り込み、公共料金の振替、送金や振り込み、現金の預け入れ、引き出しなど、金融機関の決済サービスは多種、多様にわたり、日々膨大な件数、金額の処理をコンピュータシステムに担わせています。こうした決済サービスは、個別金融機関の情報システムと、集中決済機関（全銀システム、日銀ネットなど）の情報システムが連携することによって実現されています。

金融機関が抱える様々なリスクに対し、平素から様々な備えを行っていますが、例えばコンピュータシステムの場合も不測の事態防止のために万全の配慮を尽くしても、偶発的な事故の発生を完全に排除することはできません。また長期間安定稼働を続けているシステムについてはシステムの利用方法の変化、従来にない処理パターンの影響を事前に完璧に織り込むことが難しいケースもありそうです。

日本銀行金融機構局では、「リスク管理と金融機関経営に関する調査論文」を取りまとめて、随時公表しており、先般、上記のようなコンピュータシステムの安定性確保を図る観点から「システム障害管理体制の実効性向上に向けた留意点」と題されたペーパーを公表しました。過去の事例からのヒントなども豊富に盛り込まれています。

資金決済など重要な決済サービスを担うコンピュータシステムにおいて障害が発生した場合には、利用者に大きな影響を及ぼしかねず、十分な注意が必要です。経営にあたられる方やシステムの運営部門の方に執務の参考にして頂けると幸いです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

2012年5月　　　　　
日本銀行鳥取事務所長
大石　正人　　　

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