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日本銀行鳥取事務所

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■事務所長からのメッセージ

■金融政策の波及経路について



物価の安定を目指して日本銀行が行う金融政策は、基本的には金利に影響を与えることによって、人々のモノの売り買いやお金の動きに働きかけ、物価を安定させるという経路で波及します。これについて、必ずしも正確な理解が得られていないようなので、今回解説してみたいと思います。

日本銀行の金融政策の基本的な方針は、政策委員会の金融政策決定会合で決定されます。この会合では、金融経済情勢の検討を行いその下で適切な金融市場調節方針を決定しています。毎回の会合終了後に公表する公表文では、金融調節方針に加え、経済・物価情勢に関する判断や当面の金融政策運営に関する考え方を公表しています。

金融政策決定会合で金融市場調節方針が決まると、その方針を実現するために、日本銀行は日々、公開市場操作(オペレーション)などを用いて、金融機関同士の資金融通が行われている短期金融市場における資金の総量を調整しています。これが金融市場調節です。

日本銀行は、このように短期金融市場の資金量を調節することによって、金融市場調節方針によって示された短期金利(具体的には無担保コールレート(オーバーナイト物))への誘導を実現しています。このように形成された短期金融市場の金利が他の金融市場の金利や金融機関が企業や個人に貸出す場合の金利などに波及し、その結果、経済活動全体に金融政策の影響が及んでいきます。



日本経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するために、成長力強化の努力と金融面からの後押しの両面での取り組みが必要です。こうした認識に基づき、日本銀行は、強力に金融緩和を推進するとともに、わが国経済の成長基盤強化の支援にも取り組み、またわが国金融市場の安定確保にも万全を期しています。

強力な金融緩和推進策について具体的にみると、短期金利の誘導目標水準を実質的なゼロ金利とする政策を採用したうえで、当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力な金融緩和を推進していく、という時間軸の考え方を、対外的に明確に示しています。

多様な金融資産の買入れ等を通じて、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小(リスクを避ける動きを未然に防ぐ対策)を促進し、金融緩和を一段と強力に推進するための資産買入等の基金を設け、たびたびその規模を拡大してきています。

日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識していますが、この課題を達成するには、企業や家計、金融仲介を担う金融機関など、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しが必要です。

現下の金融経済情勢の下で、金融経済活動に携わるすべての経済主体が、日本経済の足腰をどうすれば強くできるか常に創意工夫し、継続的に努力することが求められています。私どもとしても、様々な経済主体と対話を積み重ねつつ、引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期していく方針です。


2012年10月
日本銀行鳥取事務所長
大石 正人   



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