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■事務所長からのメッセージ

■実践的な業務継続計画(BCP)の勘所



 公共部門も含めビジネスにとって東日本大震災は、企業や組織に対して存在証明を改めて迫りました。ビジネスとして提供する品物やサービスの供給責任をきちんと果たす、そのことを通じて、顧客とともに企業や組織が存続する、ということが問われたわけです。

 供給責任を果たすためには企業や組織の「中核業務」(コアビジネス)が平素から明確になっている必要があり、そのうえで、どうやってもその業務を継続することこそが、業務継続計画(ビジネス・コンティニュイティ・プラン/BCP)の本質です。

 一般にBCP/業務継続体制を整える手順は、すでに知られている通り@優先業務を決めたり組織など推進体制を整備し、万一に備えた対応を盛り込んだ業務継続計画を策定する。A計画実行に必要な経営資源等を確保したうえ、計画発動に備えた意思決定・連絡体制、あるいは実務対応を書き込んだマニュアルの整備へと進む。Bまずは机上でこうした整備状況につき検証したうえ、さらに有効性を高めるために計画に基づいた、あるいはシナリオに基づかない訓練を実施して、これを計画や体制整備につなげる、という手法がとられています。

 BCPの整備にあたりこうした手法により枠組みができていることは大切ですが、ある企業や組織のBCPが実践的なものかどうか見極める本当の勘所は、業務、なかでも中核業務が中断した場合の再開までの時間など、いわば「業務再開能力」が十分かどうかにあります。

 金融機関の場合、コアビジネスは現金や決済サービスの提供であり、万一の場合にも、生活の基盤となるこうしたサービスを提供し続ける責任があります。各金融機関とも、コンピュータの西暦2000年問題への対応前後から、BCPや業務継続体制の整備に10年以上粘り強く取り組んできました。日本銀行も個々の金融機関や業界団体、金融取引を決済する集中機関などと対話しながら、BCP整備の考え方を公表したり、整備状況をアンケートなどで把握、全体的な整備を促進してきたところです。

 2011年3月の大震災発生直後から、被災地所在の各金融機関は中核業務を継続すべく、店舗の業務再開、金融サービスの提供に最優先に取り組みました。まさに実践の場で、可能な限り早期に業務を再開し、被災者の生活支援に貢献したわけです。さらに、各金融機関は、「業務再開能力」の一段の向上を目指して、被災時の教訓を踏まえBCPの見直しにも継続的に取り組んでいます。

 こうした金融機関の営業に対して、必要な現金の供給など適切に支援することや資金がやり取りされる金融市場が円滑に機能することは、血液の循環と同様、いつも通りの経済活動を支える基盤になります。日本銀行も全国の営業拠点ネットワークを活用し、こうした基盤である現金の円滑な供給や中央銀行サービスの提供を継続すべくBCPを磨きあげています。

 私どもも地域の方々との意見交換等を通じて、業務再開能力を備えたBCPの整備が進むよう、今後も働きかけていきたいと思います。


2013年 3月
日本銀行鳥取事務所長
大石 正人   



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