Bank of Japan Tottori Office

日本銀行鳥取事務所

トップページ

■事務所長からのメッセージ

■まちなかピクニック



 レジャーに出かけるには格好の季節になってきました。遠方への旅行やアウトドアの催し参加などが想定されがちですが、まちなかでもピクニックができるのでは、と提案しています。例えば芸術文化に関心があれば、画廊やギャラリー巡りでもよいし、街角の彫刻を眺めることで、「アートピクニック」になります。

 どの地域でも観光ガイドがまちの案内役になっていますが、通常、その対象はまちの外からの来訪者が主体です。また博物館の学芸員などが、市民向けのワークショップを開催していますが、歴史的な町並みなどが対象ですから、今の町並みの大半は風景でしかありません。今のまちなかそのものを対象としたまち歩きは、日常的な活動になっていないように感じます。

 一方で地域によってはまち歩きのコースをたくさん用意して、着地型観光の目玉にしています。自分の経験でも九州(長崎、熊本)ではぶらぶら歩く、という意味の方言を冠した「さるく」を売り物にして誘客を図っていますし、熊本のように「さるく」のほかに、人を訪ねる「まち咲き案内人」訪問を売り物にしている事例も見られます。

 ではこうした事例は、歴史的町並みなど観光資源が豊富でないと実現できないのでしょうか?

 まちなか(中心市街地)の活性化策は全国各地でさまざまな形で取り組まれ、事例も沢山蓄積されています。ただその多くは商店街など、商品やサービスを提供する「供給者」の立場から推進され、まちなかを日常生活の場としている「需要者」の視点は必ずしも反映されているとは限りません。需要者の側も、まちなかが「まち歩きに相応しいかどうか」、という景観的な視点から見つめ直す作業ができていないので、結局、供給者と需要者の思いがすれ違っている可能性もあります。

 日頃当たり前の風景になっている町並みを自分なりの視点でみてまわることで、子供たちの世代に引き継げるような魅力を引き出したり、日常的な活動の中から、町並みを磨きあげたりすることはできないでしょうか。また、他の町にないユニークな建造物は、路上観察のような視点からも関心を引くかもしれません。

 そうした観点から、まち歩きでの発見を白地図に書き込んだり、ネット上で情報共有して、自家製のまち歩きコースがたくさんできたり、何々名人がみつかっていけば、その中から九州のように、着地型観光のヒントにつながるプランができるやもしれません。

 もちろんその際には、外来者の視点も活用余地があるでしょう。私どももまち歩きを楽しみながら、地域の皆さんと意見交換していければと思います。


2013年 5月
日本銀行鳥取事務所長
大石 正人   



→事務所長からのメッセージ

日本銀行鳥取事務所
〒680-0831 鳥取県鳥取市栄町402 TEL 0857-22-2194 FAX 0857-37-0056

Copyright© 2011 Bank of Japan Tottori office All Rights Reserved.