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■事務所長からのメッセージ

■まち並みを生かす取り組み



 初夏の週末、山陽(西播磨や備中)のいくつかの町を駆け足で訪問してきました。訪ねた町は姫路(ただし白鷺城天守閣のみ)、たつの、赤穂、岡山・足守、高梁、同・吹屋地区です。視線はあくまで外部からの来訪者、観光客です。歴史に詳しいわけでもないので、行き当たりばったりの訪問地選択でしたが、以下のようにいずれの町も歴史的資産やまち並みを観光やまちづくりに活かそうとしていました。

 まず建造物などの歴史的資産を活かそうとする場合、特定のエリアだけを整備しても、ちょっとそこから離れると日常に引き戻されてしまうので、市街化が進展する前からの取り組みができないとその地域全体のまち並み散策の魅力は半減してしまう、と感じました。この点は既に市街化が進んだ多くの地域で共通の悩みかもしれません。

 また、知名度の高い名城や歴史の舞台(例えば仮名手本忠臣蔵の題材となった義士のエピソード)がある町はテーマが明確な一方、よほど気をつけないと、イベントやお決まりの見学コースめぐりに終わってしまう懸念もありそうです。継続的な話題の提供や住む人の視点も含めた町づくりをどう進めるのか、逆の悩みもあるように感じました。

 最後に、町の歴史を語る資料館の重要性です。素晴らしいまち並みもそれを形成してきた由緒が分かれば、またその魅力や輝きを増すことが期待できます。単なる展示にとどまらず、町歩きガイドや語り部を活用する試みも多くなっています。こうした歴史的な価値をきちんと地域として若い世代を含めて共有することが、息の長いまちづくりに欠かせないのではないかと思います。

 全国各地で、モータリゼーションや大型小売店との競合により中心市街地が次第に賑わいを失ってきています。自家用車などの訪問客の便を考え道路整備や駐車場所の確保を優先すると、自動車に便利なまち並みにはなりますが、下手をすると通過都市になる懸念も生じます。昔ながらの道を散策する楽しみは旅人の旅情を誘いますが、市街地整備の際の視点として、消費活動や生活道路との折り合いをどうつけるか、利害が絡む問題だけに難しい判断を必要とします。

 結局のところ、生活者もどういったまち並みを作るか、ワークショップのような形で関係者が納得づくで、知恵を絞ることが大切でしょうし、実際に全国各地でそうした取り組みが少しずつ進んでいる印象を受けています。私どもも地域の方々との意見交換等を通じて、地域の課題解決に今後も示唆を得ることができれば幸いです。


2013年 6月
日本銀行鳥取事務所長
大石 正人   



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