現店舗の中庭に植えられている2本の木は、ともに江戸時代以前からの由来を持つものです。樹齢100年を超えるクス(写真左)は、天正11年(1583年)の豊臣秀吉による大阪城築城の際、天守閣からちょうど20町(2.2km)離れたこの場所に距離を計る目印として植えられたクスの子孫と伝えられています。また、樹齢200~300年と推定されるイチョウ(同右)の木は、江戸時代、この地にあった蔵屋敷の敷地に植えられていたものとされています。秋には枝一杯、ギンナンの実をつけます。
辰野金吾(1854~1919年)は日本近代建築のパイオニア。重要文化財に指定されている日本銀行本店本館や東京駅赤レンガ駅舎のほか、大阪においても、市中央公会堂や旧大阪教育生命保険ビルなど多くの建築を手がけました。
外山脩造(1842~1916年)は、大蔵省、第三十二国立銀行などを経て、政府の任命により日本銀行の設立準備に従事しました。日本銀行の株式募集に際しては、外山の尽力もあり、大阪は株主数で東京を上回り全国1位となりました。大阪支店長退任後は、阪神電鉄、大阪麦酒(現アサヒビール)など多くの関西企業の設立に関わりました。
大阪支店は戦時中、空襲の標的となることを避けるよう、目立ちにくくするため、建物に薄墨を塗っていました。その甲斐あってか、支店の建物は大きな被害を免れ、戦後の復興を見守ってきました。
島原藩蔵屋敷内にあったとされる稲荷神社は、現店舗の建設の際にも大切に保存され、新館の屋上に遷座されました。主祭神は穀物の神様である宇賀之霊、その両脇を固めている五大力龍王、天姫龍王はいずれも巳(蛇)の神様で水運と水の災害からの守り神と言い伝えられています。
大阪支店旧館南東の一角に石碑があります。明治4年(1871年)にわが国初の郵便制度が設けられ、この地に郵便役所が置かれました。傍らにある金色のポストは郵便制度100年を記念して昭和46年(1971年)に設置されたものです。
あゆみで述べた首都圏被災時の対応に加え、大阪支店では、業務継続計画を策定し、定期的に訓練を行うなど災害対策に努めています。写真は、津波などの水が建物に浸入することを防ぐ設備です。