先日の地震と南海トラフ地震臨時情報の発令、そして台風10号の襲来。猛暑の夏は、天災の季節でもありました。日本銀行は、電気・水道のような、生死に直結するインフラではありませんが、現金の流通や資金決済といった、国民生活に不可欠な根幹機能を決して止めないよう、災害時でも業務を継続する態勢を整えています。先の台風でも、私を含む数人の職員が、泊まり込みで翌朝の始業に備えました。
私たちが心に留めているのは、究極の事態に対処した先輩たちの歴史です。原爆投下を受けた広島支店はその2日後、阪神淡路大震災下の神戸支店は当日朝に業務を開始し、被災した金融機関が預金者に現金を払い出すための、臨時の窓口を提供したりしています。
備えるべきリスクは自然災害だけではありません。感染症や武力攻撃・テロ、サイバー攻撃や大規模システム障害など、厄災の形は際限なく浮かびます。あらゆるリスクに漏れなく備えることはできませんが、何が起きても最低限の受け身を取れる構えはできそうです。ビジネスの世界でも、危機の原因にかかわらず、業務が中断した場合の初動や復旧の確保を考えておくという流儀が広がっています。
私たち一人一人は、まず「最初の3日間を生き延びる」ことが重要です。少しだけ想像をたくましく、心構えをしておきたいものです。(日本銀行大分支店長)