大分の居心地が良すぎて、昨年の赴任時から、体重が5㌔増えました。「前年比7%アップ」で、明らかにダブついてきた腹に、ちょっと焦っています。
体重と違い、アップするほど喜ばしいのが、お給料とボーナス。昨年に続き、各社で賃上げの動きが目立っています。お米やガソリンなど、日常の出費もかさむ中、賃金が上がっても物価の勢いに届かなければ、生活は楽になりません。それでも、四半世紀にわたって硬直化していた物価と賃金が動き出し、「頑張ったら賃金は上がる」「価値ある商品の値段は上がる」という空気が広がってきたのは、とても前向きで、大きな変化です。
足元で起こっている急激なインフレは、いずれ落ち着きます。一方で、人口の減少と高齢化による人手不足は、この先もずっと続く構造的な課題です。企業が人材を確保するためには、利益を上げ、賃金を増やしていくしかありません。経営者の悩みの深さは、宮仕えの私などが論評を許されるレベルではないでしょう。しかし、社会全体でみれば、価値あるものに対価が支払われ、その利益が働き手に還元される流れは、デフレ経済のくびきから脱却する転機となるはずです。
強引なオチで恐縮ですが、私もまずは、現状を肯定せず、県内企業の賃上げの範囲に体重増加ペースを収めるべく、節制に努めたく思います。(日本銀行大分支店長)