1975年生まれ、今月で50歳。キリがよいので、四半世紀の区切りでものを考えることが多いです。自分のことも含めて、「2050年にどうなっていたいか」を最近よく考えるのですが、世の中全体については、やっぱりその先の25年、さらにはドラえもんの22世紀までの未来を、ポジティブに思い描ける社会であってほしい、というところに行き着く気がします。
将来のいかなる地点も、そこを「終着点」として目指すのはちょっと違う。僕たちの世代は次の世代に、次の世代はさらにその先の世代に、少しでも居心地のよい社会を手渡していく責任があります。だから、大事なのは常に、「その先の未来」への希望だと思うのです。
未来に対するワクワクや安心感がそれなりに共有されていれば、たいていの困難は乗り越えられるし、人と人が助け合う力にもなる。希望がなければ、どれほどの物質的な豊かさが実現できていても、足るを知り、幸福を感じることはできません。
だから、あらゆるリーダーに求められているのも、お金やモノを配ることじゃなくて、「希望を配る」ことなんじゃないでしょうか。個別の問題にチャレンジしながら、未来への期待が自然と膨らむようなビジョンを構想する。僕たちひとりひとりがそういう気分で物事に当たることが、希望を配れるリーダーを持てる条件にもなると思います。(日本銀行大分支店長)