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公表資料・寄稿

寄稿等

誤読の理由は

最近はやりのコメ問題。新聞で「国産米」という言葉を見かけることも多くなりました。ところが同じ紙面には、字面のよく似た「米国産」も頻出。パッと見開いて情報収集をするアタマの中で、あれ?という微妙な違和感が生じて、思わず二度見します。ある意味での「誤読」ともいえましょうか。脳の働きは実に面白い。

そんな僕にとっての「久留米」は、慣れ親しんだ故郷の名。ところが、沖縄に滞在した経験をきっかけに、「駐軍」という言葉との連想が働くようになりました。それどころか、「しくまる国軍」という、ろくでもない語呂合わせまでが、サブリミナル効果のように、脳裏をよぎるのです。「くるめ」という、どこか朗らかな響きに、何とも奇妙な方向から影が差したものです。

全てのことには理由があるもの。沖縄だけじゃない、東京でも、都心のヘリポートと郊外の基地を往来する米軍ヘリの爆音が、低空で頭上をかすめています。僕たちの国はある意味で、今も米国に主権の一部を握られたままだし、それには動かし難い事情もある。僕がそのうっとうしい現実から目をそらし続けていることが、言葉遊びのような誤読の背後に実はあるのだとしたら、「もっと歴史を学び、現実を直視せよ」という潜在意識からのメッセージとして、真面目に向き合うべきなのかもしれません。(日本銀行大分支店長)