建物紹介

日本銀行旧小樽支店(金融資料館)の建築について

小樽市指定有形文化財

着工:1909(明治42)年7月
竣工:1912(明治45)年7月

設計者

辰野金吾の写真

辰野金吾(1854−1919年)

現存する代表作:日本銀行本店本館、東京駅丸ノ内本屋

辰野金吾は、日本銀行本店本館(国指定重要文化財)や東京駅丸ノ内本屋(国指定重要文化財)をはじめ、全国各地に数多くの建築作品を残すとともに、日本の近代建築の礎を築いたと言われています。

長野宇平治の写真

長野宇平治(1867−1937年)

現存する代表作:日本銀行本店2・3号館、旧日本銀行岡山支店、大倉山記念館(神奈川県)

長野宇平治は、辰野金吾の弟子でもあり、戦前の日本銀行本店増築や多くの支店の設計を担いました。また、日本銀行小樽支店の建設と同時期に小樽支店向かいにある北海道銀行(現小樽バイン)の設計も手掛けました。

岡田信一郎(1883−1932年)

現存する代表作:大阪市中央公会堂(国指定重要文化財)、明治生命館(東京都、国指定重要文化財)

建築の特徴

金融資料館の外観全体を写した写真
金融資料館の入り口となる玄関の外観写真

構造は煉瓦造り2階建てですが、表面にモルタルを塗り、石造り風に仕上げています。

また、屋根の小屋組に鉄骨を用い、防火用に屋根や床にコンクリートを打つなど、大正時代以降の主役となる建築技術を取り入れています。

金融資料館の北側正面の屋根に設置されたドームの外観写真
金融資料館の4階にある望楼の外観写真

北側の正面には4つのドームが、側面の南東の角には小樽港を眺望する4階建ての望楼が配置されています。

※以下の場所は、見学はできませんのでご了承ください。
望楼へと続く鉄骨の螺旋階段の写真
英国製の刻印がある鉄骨の写真

望楼へつづく鉄骨螺旋階段。途中、鉄骨に英国製の刻印を見ることができます。

屋根裏にある八幡製鉄所製の鉄骨が組まれた写真
屋根裏にある煉瓦が組まれた写真

屋根は鉄骨で組まれ、初期の八幡製鉄所の鉄骨を小屋組に用い、柱のない広い吹き抜けの営業フロアが可能となりました。

また、煉瓦の構造体も確認できます。

営業フロアの2階にある回廊を写した写真

営業フロアの吹き抜けに回廊が巡らされています。