江戸時代に各藩の財政赤字補てんや貨幣不足の緩和策として利用され、各藩で発行・流通した紙幣のことです。主に少額通貨が不足していた西日本の藩で多く発行されました。現存する最も古い藩札は1661年(寛文元年)に福井藩が発行したものです。
最初の発行は1676年(延宝4年)の延宝銀札と全国の中でも比較的早かったのですが、幕府の政策や鳥取の経済変動のため、2度に亘る発行・停止を繰り返し、本格的に流通するようになったのは1754年(宝歴4年)発行の宝暦銀札以降となります。
江戸時代の終期には、多くの藩が財政難から藩札の大量発行を行い、藩札価値の暴落とインフレを引起こしましたが、鳥取藩は通貨管理政策を比較的うまくコントロールし、藩札価値の低下も小さかったため、1873年(明治6年)の廃藩置県まで流通しました。
延宝銀札 | 享保銀札 | 宝暦銀札 | |
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発行開始 発行停止 |
1676年(延宝4年) 1707年(宝永4年) |
1731年(享保16年) 1736年(元文元年) |
1754年(宝暦4年) 改版により明治初期まで継続 |
種類※ | 2分、3分、4分、5分、7分、9分、1匁、2匁、3匁、5匁、8匁、10匁、100目、200目、300目、500目 | 2分、3分、5分、1匁 | 2分、3分、5分、1匁、10匁、50目 約25年毎に改版され同一金額に複数の種類がある |
デザイン | 素朴で、色彩は乏しい | 色彩豊かで、精巧 |
※単位換算:1目(もく)=1匁(もんめ)、1匁(もんめ)=10分(ぶ)