日本銀行が発行する「お札」(以下では日本銀行券と呼びます)としては、1885年(明治18年)の旧十円券以降、2024年7月3日の新券発行で56種類が発行されました。
現在も使える日本銀行券は、現在発行されている一万円券・五千円券・二千円券・千円券の4種類を含め25種類で、残りの31種類は法令により使えなくなっています。
日本銀行券には、図柄として肖像や風景が掲載されていますが、鳥取県鳥取市国府町にある「宇倍神社」は、図柄を通して日本銀行券と深いかかわりがあります。
写真:宇倍神社
宇倍神社は過去発行された56種類の日本銀行券のうち、1899年(明治32年)4月1日発行の(1)「甲五圓券」、武内宿禰(たけのうちのすくね)像とともに、全国の神社で最初に日本銀行券の図柄に採用されました。その後も(2)「丙五圓券」<1916年(大正5年)12月15日発行>、(3)「い壹圓券」<1943年(昭和18年)12月15日発行>と3種類に図柄として登場しています。なお上記(1)~(3)のうち、現在も使えるのは(3)の「い壹圓券」だけです。
宇倍神社は因幡国一の宮として参拝者が多く、創建は西暦648年(孝徳天皇大化4年)と伝えられています。毎年4月21日の「例祭」では無形文化財の「麒麟獅子舞」が奉納されることでも有名です。
宇倍神社の祭神である武内宿禰を合祀している神社は多くありますが、武内宿禰のみを祭神としている神社は宇倍神社だけとのことです。ちなみに武内宿禰は、古事記・日本書紀の記述において、孝元天皇の曽孫などとされ、何代もの天皇に仕え、武功があったと伝えられています。
「い壹圓券」表面の「武内宿禰」の図柄(日本銀行本店ホームページへリンク)(裏面の宇倍神社の図柄は掲載されていません)